起業と金融 2016 2 21

 なんとなく嫌な予感があります。
「運用難の銀行は不動産向けの融資を再び拡大させざるを得ない」というのです。

2016年2月21日の日本経済新聞の電子版には、このような記事がありました。

不動産融資、26年ぶり最高 2015年10.6兆円、緩和マネー動く

 銀行による不動産業向けの新規貸し出しが、
2015年にバブル期を超え、26年ぶりに過去最高となった。
 低金利を背景に住宅やオフィスビルの需要が底堅く、
日銀の異次元緩和でマネーが不動産市場に流れ込んでいる。
 地価の急騰や取引量の急拡大という過熱感はまだないが、
マイナス金利政策などの刺激策が長引けば局所的にバブルを生み出す懸念もある。
(引用、以上)
 不動産があれば、融資を受けることができて、
不動産がなければ、融資を受けることができないのか。
 これでは、起業も創業も難しい。
日本は、アメリカや中国と比べて、起業が非常に少ない。
 本来であれば、銀行は、起業を助けるべきなのに、
不動産所有者を助けている。
 銀行は、不動産所有者のために存在しているのか。
銀行には、新しい産業を育てるという気持ちはないのか。
 もちろん、不動産業も、産業でしょう。
しかし、日本には、不動産業しか産業がないのか。
先進国が老いてくると、残るのは、不動産業だけか。
 起業が少なくなって、増えるのは不動産業だけというのでは、
日本が先進国から老大国へ変わり果てていく兆候と言えるでしょう。
 銀行家は、往々にしてリスクを取りたくないと考えているでしょう。
確かに、起業が成功するのは、10件に1件あればよい方でしょう。
 しかし、こう考えるべきです。
ビジネスというものは、9勝1敗でも負け、1勝9敗でも勝ちになることがあるのです。
小さく勝って9勝しても、残りの1敗が不動産バブルの崩壊では、全敗と同じです。
ところが、9敗しても、1勝が日本を背負って立つような大企業に成長したら、全勝と同じです。
 こうした発想は、秀才エリートには難しいのかもしれません。
日本は、秀才エリートが多すぎるのです。
 しかし、発想の転換が必要です。
こうした発想が、日本という国の「第二の創業」となるのです。

クラウド・ファンディング 2014 11 2

書名 クラウドファンディングではじめる1万円投資
著者 大前 和徳  総合法令出版

 クラウド・ファンディングとは、
インターネットを使って、多くの個人から、資金を集め、
その資金を必要とする個人や会社に提供(寄付、融資、投資)することです。
 「これでは、抽象的で、わからない」と言う人へ。
実は、多くの日本人は、クラウド・ファンディングを体験しています。
それは、「ふるさと納税」が、そうです。
 「ふるさと納税」は、
地方公共団体によるクラウド・ファンディングです。
 私は、「公共クラウド・ファンディング」が、
ここまで大人気になるとは、想像できませんでした。
 それならば、民間のクラウド・ファンディングが、
大人気になっても、おかしくないと思います。
 多くの人は、こう思うかもしれません。
「多くの個人から、資金を集め、
その資金を必要とする個人や会社に融資するならば、
銀行と同じではないか」
 しかし、金融の現場では、
銀行は、「魅力的な融資先がない」と言う一方で、
小規模の事業者は、「お金を借りたいが、銀行が貸してくれない」と言っています。
 なぜ、このようなミスマッチが起こるのか。
日本の銀行は、意思決定が、お役所のように、硬直化していて、
担保となる不動産があれば融資する、
そういう不動産がなければ融資しないとなっているからです。
 つまり、ビジネスモデルを評価して、
融資するという手法が、日本の銀行にはないのです。
 事業を始めたばかりの起業家には、不動産はありません。
しかも、新しいビジネスをどう評価するかについては、
銀行には、ノウハウがないでしょう。
 新しいビジネスには、「新しい銀行」が必要です。
新しい酒は、新しい器にしか入らないのです。
そこで、クラウド・ファンディングの出番となるのです。
 日本の個人金融資産は、1600兆円と言われています。
そのうち、850兆円は、現金・預金です。
これは、アメリカを超えて、世界最大の規模です。
 政府は、日本版のISAである「NISA」を作って、
「貯蓄から投資へ」と呼びかけていますが、効果は、今一です。
 一方、「ふるさと納税」というクラウド・ファンディングでは、
大人気で、大きな成功を収めています。
 そうであるならば、「貯蓄から投資へ」は、
クラウド・ファンディングから始めるべきかもしれません。































































トップページへ戻る